卒業生学部生

研究と開発の双方からデータの新たな価値を追究。

マイクロンメモリ ジャパン株式会社 馬谷 遼平さん

福井県出身。2021年3月広島大学理学部数学科卒業。2023年3月データサイエンス研究科博士前期課程修了。同年4月マイクロンメモリ ジャパン株式会社入社、同年12月滋賀大学データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター客員研究員着任。英語が好きで留学経験があり、社内の外国人スタッフとは英語でコミュニケーションをとっている。現在は広島県在住だが、彦根の環境も気に入っている。
※勤務先の所属は取材時のものです。

数学を社会に活かせるデータサイエンスとの出会い

私は数学教員をめざして広島大学に入学したのですが、1年次にイギリスに語学留学したことで、自分の世界や視野が広がり、「海外で活躍したい」と思うようになりました。そこで数学を活かせるグローバルな仕事をリサーチしたところ、データサイエンティストに出会ったのです。産業領域では製造業に魅力を感じていましたが、アカデミックな数学の理論を現場に活用できるのかが疑問でした。その時、偶然、手にしたのが滋賀大学データサイ
エンス学部の河本薫先生の著書です。企業でのデータ活用事情が詳しく記されており、モヤモヤがパッと晴れました。すぐに河本先生に連絡をとって話をお聞きし、滋賀大学データサイエンス研究科に進学しました。

世界的な学術誌に掲載され大きな自信に

進学後は河本研究室に所属し、大阪ガスと共同研究を行いました。電力の需要と供給を均衡に保つために顧客の電力使用量を予測する時系列クラスタリングの手法を開発したところ、成果をまとめた論文が世界的な学術誌『Pattern Recognition』に掲載されたのです。とても名誉あることであり、数学の理論で社会に貢献できることを実感できてうれしかったです。また、自身で課題に感じていた実践力を磨くために、統計学やプログラミングを独学で学びつつの研究、論文執筆だったので大きな達成感も得られました。

最先端の研究を現場に、社会に還元していく

データサイエンス研究科は、学外との共同研究の数が多いことが特徴だと思います。日本初のデータサイエンスの学部・研究機関としての信頼と実績があるからでしょう。企業では実践力を求められるので、できるだけ多くリアルなデータに携わることが重要だと、社会に出た今、実感しています。河本先生をはじめ、企業のデータサイエンティストとして活躍されてきた先生から指導いただけることも魅力だと思います。
現在は半導体メモリ製造企業で、製造を支えるデータの活用やプロダクトの開発の業務を担当しています。先日は河本先生が研究されている状態空間モデルを活用して、当社の製造工程に特化したアプリケーションを開発しました。また、客員研究員として滋賀大学にも在籍しており、研究とその成果を現場に反映できる恵まれた環境には、滋賀大学と会社に感謝しています。私としては今後も研究者、そして企業の開発者という2つの立場か
ら、データサイエンスの道を究めていきたいです。

入学を考えている方へ

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