JSSRC Japan Safety Society Research Center 日本セーフティソサイエティ研究センター

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Research presentation

研究発表

2018年12月21日(金)に慶大日吉キャンパスで開催された高度交通システム研究フォーラム2018にてJSSRCの研究6件を発表しました。

またフォーラムの最後ではJSSRC評議員の伊藤直巳様 (あいおいニッセイ同和損害保険株式会社常務執行役員)に 「テレマティクス保険に関する最新動向」についてご講演いただきました。

発表タイトルと概要
自動車加速度データからの急減速挙動の抽出とその事故との相関分析 荒井 隆(滋賀大)
自動車事故は発生頻度の低い事象であるため、過去の事故履歴から事故リスクを推定するには長期間データ収集を行う必要がある。一方、近年の情報通信機器の発展に伴い自動車の加速度データが収集できるようになっている。本研究では運転挙動から事故リスクを推定するために、事故と関係性が強いと思われる急ブレーキに注目した。加速度時系列データから急ブレーキ挙動を抽出し、事故との相関を分析した。
ロードレージ行為に対する定義及び回避方法の検討 王石 祥,川井 明(滋賀大)
ロードレージとは、運転手が自動車の運転中に割り込みや追い越しなどに腹を立てて、過激な報復行動を取る現象である。日本で社会問題となっている「あおり運転」もロードレージ行為に含まれる。ロードレージの定義はあいまいで、責任境界も不明確のため、認定や責任追及は困難である。本研究では、ケーススタディを通して、ロードレージ行為の加害者と被害者を分析し、その要件的な定義について検討する。
ロードレージ行為判別モデルの提案 李 暁航,川井 明(滋賀大)
ロードレージ行為はしばしば重大な事故や事件を引き起こす。一方、重大な結果が生じなかった場合は罰せられずに野放しになっている。ロードレージ常習者は交通安全に対して潜在的であるが、重大なリスク因子である。本研究では、ロードレージ事件における各当事者の行動と責任を明確に判別するために、複数のステージを用いて事件の経緯を表す。本手法を用いてロードレージと疑われる事案をチャートで表示でき、一定の条件を満たすと、ロードレージ事件と判定できる。
事故類型判別の自動化手法の開発 保科架風(滋賀大)
自動車に搭載したセンサーデータから運転者の技術や事故の発生確率を予測し、運転挙動によって保険料を算出するような商品の開発を目指している。しかし運転挙動から事故の発生確率を予測するモデルを構築するためには、事故の累計(駐車時や出会い頭など)毎に分析を進める必要がある。本研究では、交通事故の報告書データ(事故の発生原因と反省点に関するテキストデータ)に部分空間法やサポートベクターマシン(SVM)などの機械学習手法を適用し、事故の類型を自動判別する手法を開発した。
テレマティクス自動車保険の安全運転促進効果に関する分析 渋谷雄平(あいおいニッセイ同和損保)
本研究では、あいおいニッセイ同和損保がテレマティクス商品・サービス提供の検討にあたり2017年1月~2018年9月に行ったテレマティクスモニター制度における事故頻度の状況を分析した。 アンケートでは、回答を得られた90名のうち82%が「安全運転を意識するようになった」と回答しており、意識の高まりが事故頻度の低減に影響したと考えられる。利用期間1年以上や、スコア90点以上の効果は大きく、サービスを長期間利用して高スコアを目指すことで、事故低減に繋がるものと推察される。会社からの管理を受ける法人層、運転経験の浅い若年層、運転技術の衰えが懸念される高齢者層、以前に事故を起こしてしまった低等級層等において、顕著な効果が見られた。
テレマティクス自動車保険データを用いた運転挙動と事故の相関性分析 横内雅紀(あいおいニッセイ同和損保)
2018年1月にあいおいニッセイ同和損保が発売した「タフ・見守るクルマの保険」のテレマティクスデータを用いた、自動車保険の契約条件(リスク細分)と運転挙動との相関性を調べた。また事故の発生要因となり得る危険挙動の洗い出し、その寄与度を評価した。 その結果、危険挙動の発生比率に応じてドライバーをランク付けすると、危険挙動の多い人ほど事故を起こしやすいことが確認できた。また急加速は若年層や高齢層に多いなど、危険挙動の発生とドライバーの年齢に一定相関があることも確認できた。