研究成果

データサイエンス・AI技術による最適配送ルート設定の自動化アルゴリズムを実現

このたび、滋賀大学(本部:滋賀県彦根市、学長:位田隆一 と株式会社帝国データバンク(本社:東京都港区、代表:後藤 信夫 )の共同研究センターである D ata Engineering and Machine Learning センター(以下、 DEML センター)は、能勢鋼材株式会社(本社:大阪市旭区、 代表:能㔟孝一)と実施してきた共同研究において、複数台のトラックによる配送ルート 設定 の 自動 化 アルゴリズムの構築 を実現しました。

ステンレス鋼材、航空機部品の加工販売を行う能勢鋼材では、 滋賀県内の工場で加工した鋼材を複数のトラック約15台に割り当て、各地へ配送(平均約250件/1日)を行っています。これまで、どのトラックがどの配送先へ向かうかは同社の担当者が、経験により決めていました。また、各トラックが配送先を回るルートはトラックの運転手 独自の裁量によって 決めていました。

DEMLセンターでは、帝国データバンクで培われてきたデータの前処理技術であるデータ研磨により、配送する加工品及び配送先に関するデータを分析可能な形式へ整理しました。整理された配送データから、配送するトラックの割り当てと配送ルートの設定を自動的に行うためのアルゴリズムを同センターの研究員と研究支援者学生らが構築しました。能勢鋼材で蓄積されてきた過去の配送データを本アルゴリズムにかけたところ、自動的に最適な複数台への配車の割り振りを行うことができ、場合によっては、実際より少ない台数のトラックで全配送を行える可能性があることがわかりました。また、「特定の配送先は最初に向かう」、「トラックの積載重量の規定値を超えてはいけない」、「ある規定の走行総時間を超えてはいけない」、「トラックの帰りの車庫は各運転手で異なる場所に設定できる」といった現実の配送における色々な制約を組み込めることができるのも、構築したアルゴリズムの特徴です。

本共同研究では、DEMLセンターと能勢鋼材との間で議論を重ね、同社の配送担当者からのヒアリングを行ってきました。その結果、長年配送に関する業務を行ってきた方からも納得感の高い配送の割り当てとルートの決定を自動的に行うための提案が行えるようになりました。今後、能勢鋼材では、DEMLセンターと協力して、構築した自動化アルゴリズムをもとに、現保有のサーバーやIT環境の充実化をはかりながら、ビジネスへの本格的な運用に向けた実装を行っていきます。これらの実装が完成することによって、人的なコストの効率的転換や配送最大数増加などによる売上アップや、人員の満足度向上につながることが期待されます。

DEMLセンターでは、今後もデータ研磨及びデータサイエンスの技術を活用し、参画企業との共同研究を通じて、社会貢献に努めてまいります。

プレスリリース別紙

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